2000年1月3日月曜日

シェークスピアの知恵

「財布の許すかぎり着るものには金をかけるがいい、風変わりなのはいかんぞ、上等であって派手ではないのだ、 服装はしばしばその人柄をあらわすという」  

 このくだりを読んで、私は思わずうーん、と考えこんでしまった。人は結局、見かけで相手を判断するので、それなりのものを身につけるに越したことはないのだろう。服装には最低限の出費しかしない私には耳が痛い。 

 じつは、先日ようやく『ハムレット』を読んだのだ。シェークスピアはよく引用されるので、これまでも何度か手に取ったことはあるが、いつも問題の箇所を探すのに精一杯で、すっとばして読んでいたので気づかなかったらしい。たしかに、そのとおりだ。こういうすばらしい言葉は、いまどきの下品な若者にもぜひ聞かせてあげたい!「金は借りてもいかんが貸してもいかん、貸せば金はもとより友人まで失うことになり、借りれば倹約する心がにぶるというものだ」 

 高校時代にお世話になった人が、これとまったく同じことを教えてくれた。友達が困っていたら、自分に出せるだけのお金をあげなさい、とその人は言っていた。シェークスピアの知恵だとは知らなかった。昔どこかで聞いた話や、見た絵に、もう一度、別なところで出会えるのはじつに楽しい。