2000年2月3日木曜日

『アンナと王様』

 このところ、あの抗うつ薬、プロザックが欲しいくらい落ちこんでいたので、とにかく気晴らしをしなくてはと思い、『アンナと王様』の試写会に行ってみた。  

 ユル・ブリンナーの『王様と私』が、いかにも西洋人から見た御伽噺だったのにくらべて、今回のリメーク版は主人公たちの心の動きがよく描かれていたし、マレーシアでオールロケしただけあって、蒸し暑さまでが伝わってきた。香港のスター、チョウ・ユンファが、流暢そうにタイ語をしゃべっていたのにも感激。ジョディ・フォスターは、芯の強そうな未亡人役を好演していたが、あの美少女もこんなに老けたか、と少し複雑な気がする。実は、『タクシードライバー』のころに、彼女に握手してもらったことがあるのだ! 

 今回の映画もタイでは上映禁止だそうだが、あの国の王室の扱いは戦前の日本のような感じなので、まあ仕方ないかな。宗教や王権、アイドルのように、強烈なものにすがっている人間のほうが圧倒的に多い。その力を使ってなんらかの秩序を保とうとするからこそ、誇大宣伝がなされたり、厳しい規制が敷かれている。ある日突然、それがただのつまらないものだとわかれば、アイデンティティを見失う人が続出するのだろう。

 映画を観たあとで、竹書房から出ている『アンナと王様』を読んでみたが、映画のシナリオみたいな本だったので、アンナ・レオノウェーンズ本人が書いたという本をアマゾン・コムで注文することにした。アンナのような強い女性の話を読めば、元気が沸いてくるかもしれない。それにしても、まったく便利な世の中になったものだ。今朝の新聞にアマゾン・コムは95年の創業以来、利益を出したことはない、と載っていたのでちょっと心配している。

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