2001年1月4日木曜日

2001年に思う

  高校生のころに『2001年宇宙の旅』を読んで、2001年にもなれば「ちょっと月まで行ってきます」と言うような時代になっているのだろうと思っていた。その2001年がとうとうやってきた。でも、私は相変わらず自転車で買物に出かけているし、前の畑ではおじさんが白菜をつくっている。『赤ちゃんよ永遠に』とか『1984年』のようなSFに描かれた恐ろしい未来は、結局は来なかったのだ。人間は大地に足をつけ、自然に生きるのがいちばんと信じて疑わない私としては、バンザイと叫びたい。  

 だが、人間は本当に変わっていないのだろうか。高校生の私がいまの時代にタイムトラベルしてきたら、ビデオゲームやインターネットに夢中になったり、歩きながら携帯電話でしゃべりつづけたりするいまの人たちを見て、やはり仰天するだろう。変化は実際には徐々に、確実に起こっている。高校生だった私が、自分でも気づかないうちにこんなオバサンに変身しているように。新しいテクノロジーはまたたくまに浸透する。そして、いつのまにかそれがなかった時代のほうが信じられなくなるのだ。  

 そのうち各家庭にロボットが1台なんて日も、本当にやってくるかもしれない。じつはここ1カ月、ロボットの本の翻訳を少しやっている。おかげで、いままでまるで興味のなかったロボットにも、いくらか注意を払うようになった。 

 先日も、高島屋でAIBOの実演をやっていたので、のぞいてみた。「おすわり」とか「ダンス」とか声をかけると、のろのろとその動きをやり、最後には妙な具合に手を振って、バイバイもしてみせた。ちょっと見た感じでは、よくプログラムされ、センサーがたくさんついた玩具にすぎないような気もしたが。  

 いろいろな状況に合わせて対応し、自分で解決方法を考えるロボット造りを目指して、いまあちこちで盛んに研究が行なわれているらしい。でも、考えてみれば、人間にだってそれができない人はたくさんいる。決められた仕事はこなせるけど、何かハプニングがあると、すぐにパニックを起こすような人だ。すぐれたロボットをつくることに力を入れるより、人間を人間らしく育てることに、世の中の人の関心がもっと向いてくれればいいのに、とすっかりオバサンになった私は思う。  

 2001年がどんな年になるかはまだわからないが、私はこれからもマイペースで生きていこうと思っている。みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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