まずは、昨年に引きつづき大磯の宿場祭りで、「こまたん」のあおばと屋の隅に出店させていただいた。今年は巾着やブックカバーなども持参したが、私のつくるものは総じて小さく地味なものだ。通りすがりのお年寄りの目にはまず留まらない。いちばん安いもので400円という値段設定も、不況の折のお祭り価格としては少々高すぎたようだ。結局、こまたんのメンバーや、その知り合いの鳥好きの人たちにしか興味をもっていただけず、売上げはぱっとしなかった。それでも、わざわざ立ち寄ってくれたありがたい友人や、大磯にいる親戚にも会えたし、小春日和の一日だったので、よい気分転換にはなった。日経に掲載された書評をコピーしてつくった宣伝チラシを配り、訳書の宣伝もしっかりとさせてもらった。
翌週は、我孫子で開かれたジャパン・バードフェスティバルに、バードウォッチングのツアーを主に企画しているワイバードという旅行会社のブースに間借りさせていただくかたちで、初参加した。こまたん同様、こちらもまた娘の口利きで出店できるようになった、という恰好の悪さ。私は鳥の世界ではまったくのもぐりなので、そんなことは気にしていられない。あいにく両日とも、ときおり小雨の降る寒い日で、例年より人出が少なかったらしく、ここでも苦戦はつづいた。通りすがりの人に「ブックカバーはいかがですか?」と声をかけても、興味ないわ、と言わんばかりの顔。「天然石の2ミリビーズでつくりました」と言っても、「あっ、そう」。それでも、ときどき意外にも、男の人や小学生の女の子がブックカバーを買ってくれたりする。ビーズのピンバッジが欲しかったのに、お小遣いが足りず、樹脂粘土のキーホールダーで我慢した子もいた。すべての柄を見て、いちばんシックな組み合わせ(と私が思っている柄)を選んでいくお洒落なお姉さんもいた。私のビーズ鳥は、どうやら特定の人にしか受けないらしい。
しばらく売り子をつづけるうちに、買ってくれそうな人を見分けるのがうまくなった。ブックカバーを買う人は、見本として置いた訳書にも関心を示してくれる。考えてみれば当たり前のことだ。どの鳥も45個の点でつくられている、という説明に反応を示さない人は、まず見込みがない。売上げは芳しくなかったが、ワイバードの人たちはさすが旅行会社でノリも面倒見も抜群で、寒い2日間も苦にならなかった。イラストレーターの富士鷹なすびさんが色紙に絵を描いているところを間近に拝見できたのも、実にラッキーだった。
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